気体を液化して真空を作るクライオポンプ

熱力学の授業では簡単のために理想気体という仮想的な気体を用いています。この理想気体は温度を下げるとそれに比例して体積が減少し、絶対零度ではその体積がゼロになります。

しかし、実在気体では絶対零度になる前に液化しますから、体積がゼロになることはありません。その性質を利用すると気体の圧力を下げることができます。この原理を利用する真空ポンプがクライオポンプです。

クライオポンプは完全オイルフリーなポンプですので、大変にクリーンな真空雰囲気を作り出すことができます。また、広範囲な真空度で動作させられる利点もあります。ただ、除去した気体を溜め込むタイプのポンプですので、定期的にそれらを放出させる作業が不可欠です。

クライオポンプには冷熱源が必要になりますが、その温度によって吸着できる気体が異なりますので、通常は80Kと10Kの二種類の冷熱源が用いられます。前者は77Kの液体窒素で簡単に作れますが、10Kには液体ヘリウムを冷媒としたクライオスタットが必要になります。

このクライオスタットが10K附近まで到達するのに1時間以上かかるのが欠点です。またその原理上、水素・ヘリウム・ネオンのように飽和蒸気圧の高い気体の除去には不向きで、それが問題となる場合にはクライオソープションポンプが用いられます。

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